サルビア
朝日は純粋やし、ほんまにいい子やから、あたしは朝日だけにはそんな思いをさせたくなかった。

どうせそのうち涼は東京行くやろうし、それまでの我慢やって思ってた。

そやのに朝日が涼と、一緒に東京行くとか言い出すからさ。

さすがのあたしも、こればっかりは、ショックやったわ。

朝日が好きならな、仕方ないんかも知らん。

でもな、きっと朝日は、苦労するで?

ていうよりも、涼の女を、あたしは知ってる。


なぁ、朝日…

あたしはあんたに、幸せになって欲しいねん。

あたしと違って汚れてない朝日には、もっとちゃんとした、幸せを掴んで欲しい。

あたしの事は、嫌いなら構わへん。

でもな、涼だけはやめて?

お願いやから…


なぁ、あたしは朝日が、ほんまに好きやった。

朝日と過ごした何ヵ月かは、あたしの宝物やわ。

ほんまにほんまに、朝日、お姉ちゃん、あたしは心から、あなたを愛してました…



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