サルビア
エリのお葬式は、母親方の親戚だけで、ひそやかに行われた。

エリは同時に、母親にも手紙を、送っていたようだった。


お母さんへ


あたしは正直散々な母親のあんたが、1度は嫌いになりました。

でもな、未だに、お母さんが言ってくれた言葉で、忘れられへん言葉がある。


「夕日、あたしは朝日よりも、あんたを選んでん。

朝日と違って人見知りばっかりして、あたしにしかなつかへんあんたが、あたしは可愛くて仕方がなかった。

あたしはな、朝日が昇って夕日が沈む、海になりたい。

でもな、あたしのとこに戻って来るんは、夕日、あんたやで?

きっとあたしに似て淋しがり屋のあんたには、必ず受け入れてくれる、大きな海があるから。

お父さんがいんくっても、あたしは夕日を、いつもいつも大きな愛で、待ってるからな」って。


お母さんも、お父さんに裏切られて、色々大変やったんやろうな。

でもその言葉のおかげで、あたしは死ぬまで、お母さんを信じてたよ。

でもあたし以上に、お母さんの方が淋しがり屋やんなぁ…


なぁ、あたしは何となく疲れてしまったから、先に行ってしまうけど、あたしはお母さんが、大好きでした。

お母さん、これからも、頑張って!




< 122 / 129 >

この作品をシェア

pagetop