サルビア
エリ、エリが影で、あたしを守ってくれてたなんて、何も知らずに…

あたしの分まで、身を削ってまで、働いてくれてたエリ。

涼じゃなくて、本当はあたしの為に、働いてくれてたエリ。

ううん、出会った時から、「家においで」って言ってくれて、あたしはあんたに、助けられてたんやもんな。

何で、何でそれに、あたしは気付かんかったんやろう…


エリはあたしと母親を、心の底から愛してくれてた。

どれだけひどい仕打ちをされても…

「離れて暮らしてたって、家族ってそういうもんやろ?」

そう思ってたあたしなんかより、とても大きくて深い家族の愛を、エリはずっと持っててくれたんや…


消える事のない思い、とどまる事を知らない涙。

もうエリが死んでから、どれくらいが経ったんだろう…


あたしはエリのいない家に、相変わらず住んでいる。

そして家賃が払えない為、久しぶりに仕事に出かけた。

もう、この仕事もあがろう…

そう思いながら。




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