サルビア
仕事はすぐに慣れた。


1ヶ月ほどで、指名のお客さんもけっこうついた。

元々、人と話すのが大好きなあたし。

特別、美人ではないけれど、どちらかと言うと、子供っぽい顔をしているあたしは、やたらおじ様達にうけた。


そんなある日、あたしの初めての、指名のお客さんでもある、立木さんと、お店で話していた時の事。


「なぁ、朝日ちゃん、お金に困ってんのか?」と、突然聞かれた。

「えっ?何でっ?」

「ここ以外にも、働いてるんやろ?」

「はぁ?」


実は、ここ1ヵ月たらずの間に、同じような事を、何度か言われた事がある。

「風俗してんやろ?」とか、「今度はあっちの店行くわ!」とか。

どうやら、ここからそう遠くはない、日本橋のホテヘルに、あたしとそっくりの子が、働いているらしいのだ。


立木さんに、事情を説明すると、「良かったぁ!朝日ちゃんは、そんなんしたあかんで!」と、納得してくれた。

「てゆうかさぁ、そんな似てんの?」

「う~ん…似てるなぁ。でも向こうの方が、きつい感じがするけど」

「ふ~ん」

「あ、すぐそこの案内所にも、パネル出てるで。見に行ってみたら?」


前から少し、気にはなっていた。

そんなに似てるんやろうか。

いや、きっと自分が見たら、いうほど似てないんやろうなぁ…


そうは言っても、気になったあたしは、帰りに近くの案内所をのぞく事にした。






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