サルビア
まだパネルを見て、ボーッとしているあたしに、最初の男が、話しかけてきた。


「間違ってごめんなぁ。それにしても、似てるよなぁ」


確かに、顔は似てるかも知れない。

でも、雰囲気というか、オーラというか、存在感が全く違う。


「エリさんの方が、美人ですよ」


初めて言葉を発したあたしに、男は「本間や、喋ると全く違うわ!」と言った。

エリはどんな感じなんやろう。


「ところで、どうしたん?どっかの店の子?」

「〇〇で働いてるんですけど…」


そしてあたしは、お客さんに言われた事を話し、本当に似てるのか、気になって来た事を話した。


男は、「そら災難やな」と笑った。


「本間ですよ…お店抜きで、やらしてとか言われるし」


本当に、立木さん以外のお客さんは、あたしがかけもちしてると思ってるらしく、そんな事を言われていた。


「まぁエリは、なかなかいい噂ないからな…」

「そうですか」


その日は、その言葉の意味をあまり深く考えず、あたしは家へと帰って行った。


家に帰って来て、エリのパネルを思い出す。

それにしても、顔は似てたな…

あたしも化粧の仕方次第で、あんなにカッコ良くなれるんやろか。

あたしは自分の、子供っぽい顔が嫌いだった。


何となく、エリに憧れを抱きながら、あたしは眠りについた。












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