サルビア
エリに保険証を差し出して、あたしは尋ねた。

「その前に…それ…見て?」

訳が分からず、エリの顔と、手に持っている保険証を、交互に見る。

エリはまっすぐな目で、あたしを見つめている。

何を見たらいいんやろう…と思いながら、保険証を開き、エリの本名が記されている部分を見る。


あたしの頭は、それを理解するのに、しばらくかかった…

保険証を見つめながら、あたしは言葉を失い、その場に立ち尽くした…


『高宮夕日』
『昭和60年12月28日』


あたしの誕生日は、『昭和59年9月12日』


頭が回らないあたしに、エリは静かな声で言った。

「あたしら似てるよなぁ…顔…」

エリがあたしの1こ下?

あたしの1こ上やって、言ってたやん?

顔が似てるって?

朝日と夕日?

グルグル頭の中を回る、たった1つの答え…


エリはあたしの妹…?




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