サルビア

初めての涙

そしてあたしは看護婦に連れられて、エリの部屋から少し離れた、部屋の1室に入った。

そこには先生であろう、中年の男の人が座っていた。

「高宮さん?そこ座って」

言われがまま、先生の向かいの椅子に腰をおろした。


「夕日さんのお姉さん?良く似てるな」

先生は笑って言った。

優しい笑顔と話し方、温厚そうで、いい人そうだった。

「そうです」

あたしは迷わず、そう答えた。

「妹、夕日さんの事やけどね…」

そう言って、先生はエリの状態を、あたしに話した。


今回の事は、リストカットとかじゃなく、エリは本気で死のうとして、手首を切った事。

それほどに、傷は深かった事。

最近はまともに食事を取っておらず、体はすでに、ボロボロだった事。

「何が原因か、そこまでは私は聞いていない。
でも1度、精神科に行くべきやと思う」と言った。

「今回は大丈夫やったけど、今の精神状態じゃ、また同じ事を、繰り返しかねない」とも。



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