恋愛日和 feat.ナナ ~ナナの想い~
愛するナナへ

ナナが、この手紙を読んでいるということは、お母さんはもうこの世には、いないということなのですね。

お母さんは生まれつき、心臓が弱くて、小さい頃からずっと、赤ちゃんを産むことが出来ない身体だと、言われてきました。

だからお母さんは大人になっても、子供を持つことが出来ないと思っていたし、ひょっとしたら結婚も、出来ないかもしれないと思っていました。

でも、お母さんのこんな状態をすべて知った上で、ナナのお父さんは、お母さんと結婚したいって言ってくれたのよ。
お父さんは、お母さんさえいてくれれば、それだけで充分だって。

お母さん、とても嬉しくて、その気持ちと同じくらい、お父さんにとても感謝したの。
そしてもし叶うのなら、この人の、お父さんの子供を産みたいって思ったの。
そしたら神様が、その願いを叶えてくれて、あなたを授かった。

妊娠が分かったときに、お母さん、もの凄く嬉しくてね。
お父さんもお医者様も大反対したけれど。
お母さんはどうしても、あなたを産みたかったの。
だってお母さんが望んで、あなたが、ナナが私のお腹へと、やって来てくれたんだもの。

ナナの成長を見られないことだけが、とても残念だけど。
お父さんとお母さんの娘だもの。
大丈夫だって、自信がある。
エコー検査で、あなたを初めて見たときから。
元気にあなたが、お腹を蹴っている今でも。
お母さんはとても、幸せに包まれています。

これからもし、人生の中で、とても辛いことがあったとしても。
あなたが愛されて産まれて来たことを、決して忘れないでくださいね。

そして最後に、一つだけお願いがあります。
お母さんの代わりに、お父さんのことを、よろしくお願いします。

願わくばどうか、この手紙を渡さずにすみますように。

愛する娘へ
ナナという名前をプレゼントした母より
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