恋愛日和 feat.ナナ ~ナナの想い~
「ねぇちゃん、腹減ったぁー。」

ユリの家のリビングルームに入った瞬間。

最初に聞こえたのは、そんな声だった。


「弟のユウ。口を開けば生意気だし。ゲームばっかしてて、しょうがないの。」

ユリは私にそう囁くと。


ゲームのコントローラーを持って、テレビ画面に夢中になっている、その男の子の頭を。

後ろからコツンッと、軽くグーで叩いた。

「なにすんだよぉー。」

男の子が振り返って、ユリを見上げながら抗議の声を上げる。

そして私に気がつくと。

「あっ・・・。」

そんな弟に、ユリは苦笑しながら。

「あたしの親友のナナ。今晩泊まるから、よろしく。あんたももう、小四なんだから、あんま恥ずかしい態度とんないでよ。」

男の子は、モジモジしながら立ち上がると。

「こんにちはぁー。」

そう言って、頭を下げる。

「こんにちは。よろしくね、ユウくん。」

私も同じように、頭を下げた。
< 23 / 45 >

この作品をシェア

pagetop