恋愛日和 feat.ナナ ~ナナの想い~
“お父さん”


私がそう、発した瞬間に。

ユリのこらえるような嗚咽が、耳元で鳴り響く。


なにかから解放されたように、私も大声で泣き始めた。


二人そのまま。

抱き合ったまま、涙を流した後。


私はあの夜のことを。

それから続く、お父さんとの関係のことを。

そして、お母さんの手紙のことなどを。

ユリに全部話した。


ユリはそんな私の話を、隣りに座って。

ただただ黙って、聞いてくれていた。
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