ヒワズウタ ~ユヅキ~
3
昨日とは違い、今日は驚くほど順調に仕事が終わった。
今日で出張が終わりだと本社から連絡があり、
簡単な引継ぎをした。
長かった出張も終わり、
来週には、ようやく自宅に帰れる。
昨日のお礼とお別れも兼ねて同僚を晩飯に誘ってみると、
快く了解してくれた。
会社の近くの店で飲んだり食べたりして、
いろいろと話も出来た。
こんなに楽しい晩飯は久しぶりだ。
あぁ、そうか。
一人じゃないからか。
昨日の少女が脳裏に浮かんだ。
子供の言う事もバカにはできないな。
ふと、
視線を上げると、
同僚は、ポカンとこちらを見ていた。
「あ、すみません、ボーッとしてたみたいで。
・・・あの、浦川さん?どうかしました?」
「・・・いえ、あの・・・、少し飲みすぎたみたいです。」
そう言うと同僚は赤い顔で笑った。
それは、
まるで、
何かを隠すみたいな照れ笑いにも見えた。