ヒワズウタ ~ユヅキ~
最後に見た瞳の色に違和感を感じながら、一人、電車で帰った。
あの時、
確かに『好きだ』と聞こえた。
いや、
気のせいか。
ささくれほどの引っ掛かりが気持ち悪かった。
電車を降り、改札を抜け、コンビニに向かう。
それは、もはや、日常の行動の一つのように体に染み込んでいた。
店内に入り、真っ直ぐビールの売場へと進む。
もっと酔えば胸裡に潜む違和感も忘れ、
明日の朝、目が覚めれば、すべて元通りだ。
と、
視界の端に映る人物。