ヒワズウタ ~ユヅキ~




「それだけの為に、ボクを待っていたの?」



もう、結構、遅い時間だ。

たったそれだけ言う為に、来るか来ないか分からないオレを待っていたっていうのか?



「早く帰って、しっかりゴハン食べて休まないと、また倒れるよ」


もう、胸の下の痛みは気にならなかった。


その代わり、

また少し、

世界が歪んだ気がした。



「今日は、大丈夫なんです!
 
 きっと、ユヅキさんのおかげなんです!!

 だから、もっと一緒に居たいんです。」



そう言い切った彼女は、明らかに『しまった』という表情だった。



オレの思考は、

一瞬、

完全に停止した。


そして、

『若さ』に負けた。



< 23 / 34 >

この作品をシェア

pagetop