ヒワズウタ ~ユヅキ~
「それだけの為に、ボクを待っていたの?」
もう、結構、遅い時間だ。
たったそれだけ言う為に、来るか来ないか分からないオレを待っていたっていうのか?
「早く帰って、しっかりゴハン食べて休まないと、また倒れるよ」
もう、胸の下の痛みは気にならなかった。
その代わり、
また少し、
世界が歪んだ気がした。
「今日は、大丈夫なんです!
きっと、ユヅキさんのおかげなんです!!
だから、もっと一緒に居たいんです。」
そう言い切った彼女は、明らかに『しまった』という表情だった。
オレの思考は、
一瞬、
完全に停止した。
そして、
『若さ』に負けた。