ヒワズウタ ~ユヅキ~
コンビニで、ミルクティとビールと煙草を買って、オレ達は近くの住宅街の公園のベンチに座った。
昼間の熱が、まだ少し地面に残っているんだろう。
夜の空気は、湿気と熱を含んで、少し蒸し暑い。
着ていたジャケットを脱ぎ、ネクタイを外し、
シャツの第一ボタンを外して缶ビールを一口飲んで、
袖のボタンも外して肘まで捲り上げる。
オレの左側に座ってミルクティを飲む彼女と視線が合う。
「スーツは、暑いから苦手なんだ。」
そう言うと、オレ達は少し笑った。
外灯が照らす薄い闇の世界には、
二人きりだった。
彼女は、たくさん話した。
オレは、その話を微笑ましく聞いた。
もしかして、こういうのを母性本能っていうんじゃないだろうか。
ペットも子供もいないから比べようがないけれど。
もし居たら、きっとこんな感じなんだろうな。
「私、きっと、ユヅキさんが好きなんです。」
ついさっきまで他愛もない話しをしていたのに。
告白ともとれる言葉が、彼女の口から出た。