ヒワズウタ ~ユヅキ~

どれくらい時間が過ぎたんだろう。


10秒?

10分?


夜の空気の中では、時間の流れなんて無意味に思える。




何も知らないくせに、どうして好きだなんて簡単に言えるんだろう。

オレの何を知って、どこが好きなんだ。




堪えていた何かが、

溢れた。



もう、

ずっと、

気付かないようにしていたのに・・・



兄貴が笑ってる。

絹代と一緒に笑っている。



世界は大きく歪み、

このままでは色を失くしてしまう。



どうすればいい?

どうすればいい?



戻りたくないのなら、

残された道は一つ。


進むしかない。



生け贄は・・・

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