ヒワズウタ ~ユヅキ~

夕暮れの街は、ザワザワと落ち着かなかった。

スーパーにも人々が忙しなく行き来している。


卵と、米と、鶏肉と、

あ、

こっちの肉のが旨そう・・・


・・・何、楽しそうに買い物してんだ。



あんな子供に釣られて浮かれてる場合か。

さっさとオムライスの材料を買って帰ろう。

明日には帰れるんだ。

どうせ、もう、会うこともないだろうから、適当にやればいい。


どいつも、こいつも、

本当に疲れる。

好きだの、何だの、

そんなのしかないにか。


恋愛で腹が膨れるのか?

人生には、もっと大切なものがあるだろう。


本当、面倒くせえ。

オレに期待するな。

そんで、いちいち失望するな。


ほとんど投げ遣りになりながら帰り、キッチンに向かう。

包丁を取り出し、手早く下ごしらえに取り掛かる。


それでも、

誰かの為に料理を作るのはどれ位ぶりだろう。


昔は、

よく、こうやって兄貴の為に・・・



< 31 / 34 >

この作品をシェア

pagetop