ヒワズウタ ~ユヅキ~
夕暮れの街は、ザワザワと落ち着かなかった。
スーパーにも人々が忙しなく行き来している。
卵と、米と、鶏肉と、
あ、
こっちの肉のが旨そう・・・
・・・何、楽しそうに買い物してんだ。
あんな子供に釣られて浮かれてる場合か。
さっさとオムライスの材料を買って帰ろう。
明日には帰れるんだ。
どうせ、もう、会うこともないだろうから、適当にやればいい。
どいつも、こいつも、
本当に疲れる。
好きだの、何だの、
そんなのしかないにか。
恋愛で腹が膨れるのか?
人生には、もっと大切なものがあるだろう。
本当、面倒くせえ。
オレに期待するな。
そんで、いちいち失望するな。
ほとんど投げ遣りになりながら帰り、キッチンに向かう。
包丁を取り出し、手早く下ごしらえに取り掛かる。
それでも、
誰かの為に料理を作るのはどれ位ぶりだろう。
昔は、
よく、こうやって兄貴の為に・・・