ヒワズウタ ~ユヅキ~

近くの線路を通る電車の音、

南向きの窓からは弱々しい西日が差し込む。


いつの間にか、

部屋の中には、

夜が染み込んできていた。


彼女の仕事が終わるまでには、まだ、時間がある。


リビングの電気をつけ煙草を吸う。


昔は煙草なんて吸ってなかったのに。

いつからだろう。

思い出せない。


あぁ、ダメだ。


また一つ、記憶の蓋が開く。




< 33 / 34 >

この作品をシェア

pagetop