危険中毒
だが、

『過度のマザコンだろう』

モニカは、
傷が重なった乳房を
消毒しながら言っていた。

『マリアって、アイツの
母親の名前なんじゃない?』

『あれは、愛撫と
言えたモノじゃない。』

・・・と。


調べる価値がある。



俺は、結局、門番を
力技で捩伏せ、入室した。

この組織は、
ヤツの指示遵守の為なら、
人を殺すことすら厭わない。

だが、人は、
我が生に、こだわる生き物だ。

命を奪わずにいてやれば
この門番も、これからは
俺に対して、融通を通して
くれるだろう。

今更、死体を一体増やす事も、
生体兵器を売りさばくココでは、
たいした意味も持たない。

生存の権利を守ってやる。

こんな当然の事が、
イカレタ組織では、
意味を成してくる。


この組織は、
かつての某旧大国が
衰退した時、
下層部に溢れた負の因子を
濃縮した姿の様だ。

自由主義の名を語り、
我国主義を
諸国に押し付けていた、
その旧大国は、この国の前身。

その大地の上に、
この国がある。


スラム化した地に、
中流以下の階級の民が集い
奪い合い暮らす。



 
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