危険中毒
 

少しは苦しめ。


お前に殺された奴らの
苦しみを思い知れ。


「ムーン。許さないよ。
・・・私をキズつけた報いを
受けてもらわなきゃ。」

結構な血液を流しても
この程度の取り乱し方

やはり、
軍役経験者か・・・?

奴は、銃を捨て
こちらに向かい駆け出し、
宙に踏切る。

そして、間伐おかず、
身体を捻り、
蹴りを繰り出す。

銃を納め、腕で蹴りをとめ、
顎狙いの爪先蹴りを見舞う。

「何?!」

奴は上半身を反らし、
攻撃をかわした。

直ぐに、奴との間合いを取る為
後ろに飛びずさり、
片手を床につき、
体勢を整えた。

「私は、あらゆる武道が
得意でね。プリンス。」

言いながら、
重心を落とした俺の頭部を
狙った踵落しが降ってくる。

よけるものの、間に合わず、
掠めた額が切れた。

間伐おかず、攻撃が続き、
不本意ながら、数発喰らう。

血が眼に入らぬ様、
シャツの袖で何度も拭う。

加わる力は、その体型のせいか
それほど重みはないが、
身軽で、速い攻撃が
繰り返されるため、
一発喰らうと、
体勢を持ち直す間もなく
浴び続ける事になった。


 
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