危険中毒
予定通り、
制御室へと向かう。



アンドロイドを始末して
高炉を完全に停止させる。


これが
今回の仕事だ。


稀にみる、た易い内容。


だが

この、付かず離れず
とりまく気配は
何だというのだろう。



高炉を守る為か?

アンドロイドを守る為か?

暗に、サタンが
差し向けた刺客か?



ノロノロとしか進めぬバイク。

配管の劣化した部分から
噴き出す蒸気。

配線ダクトから、
時折散る火花。

空調ダクトを覆う
フィルターのガタツキ。


全てが、神経を
衰弱させる。


想像し得ない敵に
神経が過敏になる。


じっとりとした汗で、
張り付く前髪を、
腕で拭うようにかき揚げる。


「リディア。大丈夫か?」

同じく、腕で
額を拭いながら彼はいう。


「ええ。
そんなヤワじゃないわ。
ちょっと暑いだけ。」


そう、
マグマが湧き出ているのかと
思うほどに、この建物の中は
暑かった。


ギーッという
微かな音を立てて、
何かが動くのを感じ
振り向き様銃を構えた。






 
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