危険中毒
『了解。』

無線が切れた。


・・・!!

背後に視線を感じ、
振り向き様、
銃を抜き構える。


「・・・気のせいか。」

部屋の各隅の、
監視カメラが
俺を捕らえている
だけだった。


二重構造の扉を通過する。

電力不足のせいか、
制御のせいか、
やたらと開閉速度が遅かった。


通路より、
遥かに薄暗い空間に
出ずる。

目が慣れるのに、
数秒かかったかと思う。


『アイタカッタワ。
シドニー。』

スピーカーから注ぐ
オンナの声。

慌てて声の方向、
すなわち左後方へ身体を
傾けた。


ゴリッ・・・


鈍い痛みと嫌な硬さを、
こめかみに感じる。


ーーー銃口ーーー


油断していた訳では
なかったが・・・

完全に背後を
取られていた。

無表情な器が
俺に武器を突き付ける。


かつては、その皮膚も髪も、
人型に、模してあったであろう
それは、顔面の左半分の表皮が
崩れ、機械構造が向きだしに
なっており・・・

やたらリアルな眼球が、
こちらをみているのが
何とも不気味だった。




 
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