危険中毒
 

「バレたから・・・

ここにいるんだよね?
女だって。

いつも、バレたら、
村には置いておかないって。」

俺が理解するより、
ミオの方が質問を解するのが
早かった。

「キムは、怒っちゃ
いなかったよ。
あんたは、酷い怪我を負って
昏睡状態になったから、
ここへ来たんだ。

後の事は、
もう少し落ち着いたら
話そう。」

ミオは、必要な事だけ
述べる。

少女は、奴に見捨てられたと、
思っていたのだろう。

その瞳が、少し
安堵の色をともした。

「モニカ。
目覚めて早々で悪いが、
検査と、君の事を
聞きたいんだが、
いいかい?」

聞いた俺に、
彼女は再び、
澄んだ眼をむける。

でも

その口をついたのは
そのあどけない容貌からは
想像もつかない、言葉だった。

「村の事については、
一切語らない。
権利、主張についても、
あらゆる事について。

どんな圧力がかかろうとも、
守秘義務があるから。」


守秘義務・・・


資格試験の紙面上ならともかく
こんな年端もいかぬ、
少女の口をつく単語では
ないはずで。


俺は呆気にとられた。



 
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