危険中毒
足がもつれ、
転びかけながらも
バスルームを出る。


喉に手をやるが、苦しくない。

毒殺された人間の
苦しみ様は
見て、知っている。

でも、私は苦しくない。


じゃあ、なんで?

どこから、血が出てるの?

自分自身に問い掛けた。

映りこんだ鏡にも、
いつもと変わらぬ自分がいて、
逆上せた訳じゃないと知る。


怖くて、廊下に座り込み、
頭をかかえた。

訳がわからず、
涙があふれ出した。


どうしたのか
どうしていいか?わからず、
その場から動けなく
なってしまった。






RRRRRRRR・・・
RRRRRRRR・・・

しばらくして、
電話のベルが鳴り響く。



だけど、
私は、動けずにいて、
膝を抱える。



しばらく鳴り続いた
電話のベルは途切れ、
数秒後、玄関の扉が
ノックされる音が響いた。


「モニカ?」

「モニカ?!いないのか?」

ジニーの呼ぶ声がする。


涙の後を、拭いもせず、
白いバスタオルを身に巻き、
玄関に向かい、歩きだした。



 

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