危険中毒
「ああ、その前に、水、
抜いていってよね。」

バスタブの栓を
抜くように
簡単にいうが・・・

何の意味があるんだ?!


「人間、生きるには水がいる。

消防設備が生きてんのは
・・・水があるから・・・。

理屈はしらないけど・・・
水を残せば、

アイツは
生きながらえるんだ。」

機材を足場に、
手早く管球を抜きとり、
モニカは点検口に向け
蛍光灯を無作為な方向へ
何本も投げ入れる。

頭上で、パリンパリンという
高い直管の割れる音が
鳴り響く。

ほぼ、室内の全灯を
投げ込んだ後、
彼女は、ゲリラ戦の
装備だろうか?

何か、器具を
ダクト内にうちこみ、
その爪が抜けないか確認し、
俺をみた。


「さっさと行って。
後は、私がやる。

あんたには・・・
このヤマは、
やんないわ。

私が、カタ、
ツケるんだから。

あのオンナには・・・・
私の持ってる何ひとつを
やったりしない!!」


その眼は、

モニカの眼を、
支配するのは、
嫉妬だった。


冷静に成れないモノに
勝算はない。

それは、
こいつも俺も
身を持って知ってる。



 
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