危険中毒
「お前、どうやって
あの箱を壊すつもりだ?」

俺達の装備では、
どう考えたって、
防弾樹脂であろう素材を
破壊する事はできない。

「これ。
キモチ、火薬は
へらしてる。」

モニカはいって、
胸元から手榴弾を取り出し、
箱から這い出す
電線の束をわしずかみ、
ジャックナイフで、
適度な長さに手繰って
切断した。

「神経、通ってんでしょ?
痛いんじゃない?」

モニカは、
その機材に向かい
言葉を放つ。

そして、怖いほどの
笑みを浮かべた。

呆然とする俺を尻目に、
手早くそのコードを使い
機材の継ぎ目など、
弱そうな場所に
縛りつけた。


微かに聞こえ続ける
避難命令のガイダンスが
場違いなほど耳に障る。


モニカは、何を
気にする風もなく、
慣れた手つきでピンに
ワイヤーを絡め
適度な距離をとるよう
指示する。

俺達は、更に上階の梁に
器具を絡めて避難したが
もっと離れてと、
彼女はいう。

薬品を調合したのは、
俺ではない。

不審に思いつつ、
指示された距離をとる。

直ぐに、彼女は、
躊躇することなく、
ピンを引き抜き、
轟音が閉鎖された空間に
響きわたった。


 

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