危険中毒
 
「オマエには聞いてない。
女に聞いた。」

サタンは言って、
名前をいうよう
顎で指示をだした。


「・・・リディア・・。」

逆らう事を許さぬ眼差しに、
口をひらいた。


「ふーん。

見た目に合わず、
随分オリエンタルな
名前じゃないか。

さすが、ムーン。
目がこえてるな。」

サタンが、面白そうに
笑った。

「おあつらえ向きだと思うが。
どうする?」


「どうしようかな?
ムーン、オマエの紹介だろ?
私は、イマイチ、
オマエを信用しちゃ
いないんだ。」

サタンは大袈裟なほど
芝居口調でいった。

「心外だな。
常にパーフェクトな商品を
提供しているが?」

ムーンは動揺すらしない。


この二人の関係は・・・


明らかに良好な
ものではない・・・。


私は、小刻みに震えながら、
立ち尽くすだけのはずなのに、
頭の芯の部分は、
妙に研ぎ澄まされていた。

 
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