危険中毒
 
やはり、

ジュノ=ジューン
だった。


彼女の公式データをみれば
人物も行動履歴も
一目瞭然だった。


変死体でみつかったのは

ジニーが私に別れを告げて、
数ヶ月経った頃の
事だった様である。

この組織には、
その数年前から、
実験用棟に科学者として
雇われていたらしい。


「何か、内偵、
頼んでたの?」

マックスに聞いても
あるわけねーだろ?って
言葉をきってしまう。

「無いようには
見えないけどねぇ。
アンタの場合。」

ペットボトルに入った飲用水を
渇いた咽に流し込む。


だって、彼女が
内偵をしていた事は、
数々の物的証拠からも
明らかだ。

ムーンが、
頼んでようが、いまいが、
何かを伝えたかったと
いうことは、
死亡直前の携帯電話の
発信履歴からも
明らかとなっている。


ただ、ムーンは

それすらも
証拠として信じていない。


誰にでも
擬装工作が可能だからと。


今となっては、
ジューンが
何を考えていたかも、
データが事実なのかってのも、
全くわからない。



 

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