危険中毒
その記憶を司る脳は、
私が原形を留めぬ形に
変えてしまったから。
「それより、だ。」
ムーンが肩に腕を回し
身体を引き寄せ、胸元に
ICチップを挟み込む。
「調査、ヨロシク。」
『マリア』を、探せ。
目下の所の最重要事項だ。
ムーンの記憶から起こした
アンドロイドの
モンタージュを頼りに、
サタンのいう所の
『マリア』の捜索にあたる。
いったい、アイツは
何モンなんだ?
『マリア』も・・・
『サタン』も・・・
あまにも、
不可思議な二人。
いい加減、この、
得体のしれない何かから
解放されたかった。
私は、気の乗らぬまま
日々、変装を繰り返し、
メトロポリスへと向かった。