危険中毒
ため息を一つつき、
ベッドサイドの
段ボール箱の上においた
紙袋を手に取る。
合法ドラッグ・・・
常用性が低いなんて
嘘なんだろうが・・・
明日、売買を懸念される
タブレットのサンプルが
掌に滑り出て来る。
ココロを蝕まれているのは
モニカだけじゃない。
特攻切ってる俺だって、
相当ヤバイ。
自分でわかる程に。
その一錠を、押し出そうと、
タバコを灰皿に置いた。
『幻覚剤』
シャブなんかと違って
ハイなまま、幸せな幻覚が
続くらしい。
・・・臨床結果は、
得られないそうだが。
心臓への副作用が強く、
サンプルは、何百人と
死んだらしい
いわくつきの薬だ。
それでも、
逃げだしたかった。
あいつらを巻き込んでおいて
それが、叶う訳もなく。
ならば、しばしの間
この状況から現実逃避したい。
錠剤を押し出す指先に
力を入れた瞬間
携帯電話が着信を知らせた。