危険中毒
私は・・・


諦めていた。


私に、幸せなんてモノは
来ないと。


くだらない人生。


もう、終えたいと
何度考えただろう。


私の人生は、決して
世間の貧民層の人間と
比較した場合
悪いものではなかった。


何故なら、この組織も
私が買い取られた頃には
本当に、単なる人材派遣に
過ぎなかったから。


一企業の役員に
迎えられた・・・。


まだ、子供だった私は
疑問にも
思わなかったのだ。


何故、普通の一般企業で
子供や跡取りもいる人間が
養子を迎え、その座に
私を据え置くのか?
と、いうことを。


気付いた頃には、
そんな事は、
どうでもよくなっていた。


もう、どうでもいい。


私は、新たな派遣分野に
食指を伸ばしていった。



『戦争産業』



これは、今では
我社の主要取引品目と
なっている。

死にたい人間を使って、
有益に死を与える。


私は・・・
逃げることも
死ぬことも許されない。


そんな私からの
生に疲れた人間への
ささやかなプレゼントだ。



 

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