危険中毒
『サタン・・・?』

いないのか?と、
呟くような
小声でもらし

探るような
壁に体を擦ったような音と
扉を開けるような音が
聞こえる。


その度に

緊張を伝える
呼吸が聞こえてくる。


アイツ


いないのか・・・?


『ここ、何・・・?』


リディアの
狼狽した声が
無線の向こうから
聞こえた。


なにか、機械音がして、
彼女が慌てて
動き回る音がする。

カタッという
なにかに
触れる音がして・・・



ガサガサッと何かが
うごめく気配がした。


「おい・・?リディ」


呼びかけた声が、
掻き消される。



『ジニー逃げて!
早く!逃げて!』

モニカの
恐怖で錯乱した声に



俺は、集中力を


完全に欠いていた。



しまった−−−−


気付いた時は、


背後を取られていた。



舌打ちして、
体制を立て直そうと
身体を捻る。


相手の気配は、
素早く移動する。


 
< 247 / 352 >

この作品をシェア

pagetop