危険中毒
迷った末、
選んだ結末だった。


奴には止められたが、
彼女を守るには、
自分のそばに置くことが
最善策だと思った。


なのに・・・


もう、このザマか。


どうしようもない想いに
血を吐きそうだった。


「どうしたの・・?」


彼女の声が、

自分を現実に引き戻す。


「ああ・・・。」

何とも形容できない
返事をしていた。

「どうしたの?その顔。」

「別に。」

「まあ、いいわ。」

彼女は、たちあがる。
ちょっと笑みかけたが、
頬が痛むのか顔をしかめた。

「勝手に、備品、借りるわよ。」

彼女は言い置いて、
さほど広くもない室内を
自由に行動しはじめた様で、
背中で気配を感じる。


仮住まいのこの部屋には、
元々たいしたモノもない。

キズの手当も、
ろくにしてやれないほど
何もおいてなかった。


床に落とした視線に、
形のよい足がうつりこみ、
続いて何かを差し出され、
思わず、顔をあげた。

「冷やしたほうがいいわ。
ハンサムが台なしよ。」

思わず、
冷やしたタオルを持つ、
女の手を強く引いた。


 
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