危険中毒
指定された会議室へゆく。


そこにいたのは


士官学校の恩師だった。


「・・・?」


どうゆうことだ。


顔には出さぬつもりが、
明らかに、眉間にシワが
よる。


「会いたかったよ。
マックス大尉。
あまり時間がないんだ。」

彼は、そういって、
かばんの中から
鍵をとって俺に手渡す。

そして、無言でカチャッと
音を立ててしまった
アタッシュケースを指さした。

まるで、

この鞄の鍵だからと
言わんが如く。


「ああっと・・・士官?」

話の成り行きが掴めず、
探りの言葉を入れた。

 
「H&T社の話は
聞いてるか?」


「ええ。噂では。」

「私が集めた資料の在りかだ。」

彼は再び言って、
アタッシュケースに
視線を送る。


「あとを、
ひきついでくれないか?

私は長くないから・・・。」

整然と何列にも並ぶ
会議テーブルを挟み
それだけを告げられる。


どうゆう意味だ?

まったく理解できない。



でも、何かを
警戒するように
恩師は用件を
告げていく。


「くすぶりは、今は
まだ小さい。」

 

 


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