危険中毒
車から降りようとして
躊躇する。


・・・こんな
怪しげな事件現場に、
返り血を浴びた状態で
飛び込んでどうする?


濡れ衣を被されるに
決まっている。


何とか思い止まり、
砂や埃を被ってしまった
フロントガラス越しに、
目をこらしてモニカを探す。


何処にも
いなくて・・・


まさか、
あの瓦礫の中か?

瀕死でみつかり、
病院なんだろうか?

それとも、無事で・・・


連行された・・・と、か?

様々に思い立つ。


不安が恐ろしいほどに、
襲ってくる。


「クソッ!!」


ガラスを叩く拳に、
力を込めすぎたのか、
ドンッという鈍い音に
ピシッという何かが割れる様な
音が重なる。


前方のポリスが不審そうに
こちらを見ている事にも
気付く。


長居は無用だ。

再びハンドルを
切りかけてすぐ
細い路地に、
何かを見つけた。


ダストボックスの影から
微かに見える何か


足の・・・指か?


よく見れば、堅く踏み固まった
土肌に付着する、
すりつけられたような、
等間隔の褐色。


血痕じゃないのか?


ギリギリ一通か?と
いうようなその路地へ
車ごと侵入する。



 



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