危険中毒
「そんなに壁が薄いのなら
丸聞こえだったんだな。」

アドレナリンを
再び制御できなくなったのか、
興奮気味のモニカを抑える為、
軽い冗談を交える。

「何が?」

「オマエの鳴き声。」


「・・・バカ。」


真っ赤になって
ソッポをむくモニカは、
まだまだ少女っぽさが
抜けていなくて

コイツを守らなきゃならないと
いう思いが、自分を
冷静な状態にキープする。


電話・・・
=電気信号

催眠か・・・起爆スイッチ

交換機に増幅器をかませば
後者も不可能ではない。


電話・・・


同じ通信手段とはいえ

士官は・・・


養父の最期は


どう説明する?


電磁波を感知できたとして
俺に危機を知らせたとでも
いうのか?


混乱を静めるため

ブレーキを踏んだ。



・・・ありえる・・・



親父なら、
可能かもしれない。



彼は、数年前に、
心臓を悪くして、
ペースメーカーを
埋めていた。


もともと微弱な電気を
感知する、過敏というのか、
敏感な神経をしていた人だ。


いつからか、疑問はあれども
着信を察知したとして、
何等不思議はない。


 
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