危険中毒
 


H&Tーーーー


ある日突然

わずか10歳の人間が、
創業者一族をおいて、
社長の後継者として
飾られていた。


就任後の学業、経営手腕、
ノウハウは相当優れているよう
記録されている。

胡散臭い話だった。

セレブリティを見せる
幼少の経歴は、
明らかに養子縁組が
成立するに、違和感を
抱くものになっている。


いわば、旧貴族の家系が
成り上がりの発展途上企業家に
何故長子をくれてやるんだ?


現実的な話、
この国ではタブーだ。


おそらく、この完璧な
プロジェクトの中で
唯一、詰めの甘さが
みられる箇所だった。


何か、慌てて
取り繕った様に見える。

 
平等の国等と、
良く言ったもんだが
この国には、
実際そんなモノは
存在しない。

『資本主義』とは、
そんなモノだ。

富豪は、より繁栄し
福を貪りつくし
貧民は、無いものの中から
奪い合う実情だ。


 

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