危険中毒
「なんで・・・お前は・・・
そのキズの事で俺を
攻めない?」

抱きしめたまま、
腕を緩めずに聞いた。


サタンが、
彼女の頬に刻んだキズは、
皮膚にキズを付けた程度では
ない。
その造形が歪むほどではないが
確実に跡が残るだろう。

「リディア?」

答えを促す。

いっそうの事、
激しく攻めてくれた方がいい。

「私は・・・
この件に関しては、
あんたを・・攻めないわよ。

自分で決めて
付いてきたんだから。」


暗示が、
彼女の心に
干渉している。

意志の強さに
結びついたのか。


だが・・モニカ・・・

本当の事をしれば、
どうする?


お前を守る為とはいえ、
強引に巻きこんだあげく、
催眠で、その過去を
書き換えている。


事実は・・・


お前は・・
自分の意志でなど、
俺についてきたわけじゃない。


暗示を、解いちまった方が
いいのか?


どちらにしても、
サタンは、コイツの素性も
怪しんでいる。


「ジニー・・・」

不意に、腕の中から呼ばれ
ハッとした。


モニカが呼んでいた
俺の愛称。




 
 
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