危険中毒
ソイツが、
この国の首相と
同一人物だと判明したのは

数年前の出来事にすぎない。


仮説をたて、調べたのは
『マリア』らしい。

そして、
どこからその話を聞いたのか

立証したのが、

当時、この機関で
生体実験に携わっていた
ジューンだった。



アイツは、殺害される直前に
俺に電話をかけて来ていた。

俺は、たまたま圏外にいて
通じる事はなかったのだが、
元々グレーな扱いだった俺は
発信履歴から、組織より
尋問にあっていた。


そして、ほとぼりの醒めた頃


それを、
見計らったかの様に、
故人から郵便物が届いた。

ICチップに
保存されたそれは
組織からの懲罰を
予測していたのだろう。


死の一週間ほど前の発送で

船便で時間を引き延ばし
到着するよう、一旦
国外へデータを持ち出し
送付した様子だった。


ジューンの協力者を
躍起になって、
俺達は探していたが
そんなモノは、はなから
いなかったのだろう。


彼女の侵した誤算は

マリアの仮説を
知人の医者に話した事だった。

  


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