危険中毒
玄関の扉に体当たりして、
モニターが変形するほどに
食い込んだ鉄扉を破り、
脱出した。


「ゾラ!!」

無線に応答を求める。

外部と再び交信を
制御された通信危機は、
鳴くことすらしない。


「仕方ねぇ・・・」 

オープンガレージに
駐車された車のガラスを
蹴破る。

なんだ・・・?
防弾ガラスじゃないのか?

不審に思い、
そこらあたりを探り
車検証を見つけだす。

「非合法な稼ぎ方を
しておきながら
なかなか律義に
遵法してんじゃねえか。
あの野郎・・・」


クラシックカーのため
車検の周期は短い。
旧大国時代の珍品
こうまでして乗るとはな。


こんなところに住んでれば
車なんていらないのに。

随分埃を被っていて、
最近乗られた形跡もない

よほど、ステータスを
誇示したいのか

陸地に渡り、
ヤバイ橋を
量産したいのか

・・・このメーターの
状況からすれば
前者だろう。

あっちには
この車では
渡っていない。

車検証を胸元にねじこみ
ファスナーを無理矢理あげる。

「苦し・・・」

眉間にシワを寄せた。
 



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