危険中毒
走り出す前から
疑問に感じている
事があった。


1mmに及ばない銅芯に
電流を通して爆発音を
立てたとして
住宅街で誰も出てこないなんて
ありえるのか?

周囲に対して、
どうにも年季を感じた
サタンの私邸の外観・・・


妙な胸騒ぎがした。


ありえない発想だが
箱庭のようだ・・・

比較的、新しい
周囲の新築住居からは、
人のニオイも気配も、
切り取られたかの様に、
一切感じられなかった。


燃料計と
ナビの位置関係から
ジニーの戸籍にあった
住居の方向へ車を進めた。


「キレーな家」

・・・けれども


そこにも
その辺りにも
人がすんでる気配は
微塵も無かった。


とって付けたような
駐車場が滑稽なほど、
車の一台も
とまっていない。

タイヤの
こすれた形跡すら
なかった。


「ゴーストタウンか・・・」

どうせ
これも税金なんだろ?

金の使い方を
知らない国だな。

まあ、死人の私は
福祉も還元されねど
納税の義務もなくて

あまり自分に
関わりのない事だと
ため息を落としつつ
車を出した。



 
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