危険中毒
「ジニー・・・

何か・・いって・・・。」


俯せに横たわる体を
仰向けにして、
左胸に耳を押し当てた。




「動・・い・・・て、る。」


よかった・・・
小声で、自分に
言い聞かせるよう零した。


どこを怪我してる?

朱く染まった額
投げ出された四肢
折れてる風はない。

撃たれた?
刺された?

腹部






かつて・・・
愛しそうに
私を抱き包めてくれた
その全身を触診してゆく。


「ジニー・・・」


意識を失っても尚
美しくあるオトコに
無意識の内に口づける。


「愛して・・・」

はっとして、
最後の言葉を飲み込んだ。


後頭部に
つきつけられた銃口


ひっつかまれた髪


「立て。」


自分の銃を咄嗟に
ジニーの体の下に
服の中に
ねじ込む様に隠し
両手をあげて
立ち上がる。


「お前か。

私の事を嗅ぎ回ってるのは?」


歪んだ笑みが
向けられる。


「何の事?」


するだけ無駄とは
わかっているが・・・
サル芝居をする。



 


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