危険中毒
一瞬、
溶けるように歪み
渦巻いた視界が
霧が晴れるように
開けた。
効果が現れた様だ。
いつもの声が
三半器官の奥から
幾重にも重なった声が
私に語りかける。
『サタンが、
陳腐な人間に
良いように扱われるって
どうなのかしらね?』
老若男女の
嘲笑うような声色
それは、
不愉快な不協和音だ。
『翻せ!』
『楽しませなさいよ。』
『少しは私の役に立て!』
『人間なんかに使われるな。』
『世界はアイツのものか?』
今度は群集の
騒ぎ立てる声が
私を攻め立てる。
アイツの道化と化した
屍のような私を。
その重圧に、
固く目をつむる。
やめてくれ!!
私を、操るな!!
誰か
助けてくれ・・・
震えが来る私を
あの声が追い詰める。
『おまえなら
出来ると思うが?
レオ・・・』
アノの声で
天使の声が
私を崖っぷちに
追い込む。