危険中毒
「ダクトを探すんだ。」

不意に言われ、
奴をみやる。


「ダンナ、余程、
血が足りねぇんだな。」

そういって奴は
苦笑する。

「この天高だぜ?
ダクトにつながる点検口は
絶対、この辺りまでにあるさ。
中央に全く柱がない構造だし、
絶対壁面になにかある。」

いって、腰位置を手でしめす。

「こんな精巧なつくりの世界に
脚立やら足場を組んで
メンテやらするわきゃねー。」

確かに血は足りない。

さっきから視界が
グラグラする。

それにしても、
こんなお子様に、
誘導されるとはな。


「いつものアンタなら
こんな事は、すぐに
思い付くのにな。
そりゃ、親父が
しゃしゃりでるわな。

まあ、立ってるだけで
上出来だがな。」


親父・・・

キム・・か。

辛いなら、その辺に
座っていろと、男がいう。 


そんな余裕はない。


モニカの
無事を


確認するまでは



 




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