危険中毒
 


『ねえちゃん、話がある。』


意識不明となったモニカを、
病院に搬送した、あの日


そういって、キムは
私を呼び寄せた。


『なんつったらいいか・・・

半ば強引に、アイツを
ひきとったってのに、
こんなザマァ見せて
すまねぇ。』

キムは、余程、後ろめたいのか
目を合わせる事もなく
私に、そう言った。


何を言うんだ。

思わず、目を見開いた。


男手で一つで、
生存するにも、劣悪な環境の
あのゲリラの森で
ここまで、子供を生かして
来たんだ。


私からすれば、
頭の下がる思いだ。

反して、今だに
自分の子供という認識を
もてない自分が
後ろめたくもある。


私たちの間では、当然であった
この現状に繋がる、
その選択肢も

世間一般であれば、
母親である私など、
産みっぱなしと非難されても、
文句の付けようもないと
いうのに。


モニカに対してと
いうなら、まだしも、
私自身が、このオトコに
陳謝される様な覚え等、
一つもない。

 
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