危険中毒
数年後ーーーー
とあるバーで
落ち合った時の事だった。
『ダァメだなぁ・・・。
あの坊主も、使えねぇや。』
毛髪を掻きむしる様な
珍しく息詰まった仕種をする。
『あ?』
キムの独り言に反応した。
『あの坊主?』
『んー?
ああ・・・コイツだ。』
掌ほどのサイズのICカードが
宙を舞う。
とっさに掴みとり、
携帯電話にセットし
データを確認する。
・・・『H&T』代表・・・
俗称『サタン』ーーーー
『コイツは未知数でな。
案外使えるかと思って
近づいてみたんだが・・・。
相当クレイジーでな。
ありゃあ、相当壊れてやがる。
こんなモンに、政権なんざ
執らせた日にゃあ、
こんな巨大な国でも、
瞬時に破滅だぞ。』
全く思い通りにならねぇな・・
なんて、苦虫を噛み潰した
表情で、キムは
愚痴めいた言葉を漏らす。
『いっそうのこと、
アンタがやれば
いいじゃないか。』
苦笑いをもって、そう告げれば
冷めた眼差しを
ヤツは送ってくる。
『俺は、テッペンの器じゃ
ねーよ。知ってんだろが。』
そんな言葉と一緒に。
『俺は、ゲリラだ。
敵国の国民のために、無償で
クーデターをおっぱじめる
筋合いなんてねーんだよ。』