危険中毒
『はいよ。それは、
前にも聞いた。』
バーボンを喉に流し込みながら
軽く受け流す。
・・・己の敵ついでとはいえ
ぶっ壊そうとしている
独裁政権のーーーー
敵国国民の顛末なんて
案じている所など、
十二分にお人好な性格が
現れていると思うがね。
口にすると面倒臭い展開が
目に見えるその言葉を飲み込み
じゃあ、また、と、
片手をあげ、先にバーをでた。
私は、知っていた。
キムの経歴をーーーー
某国の一流大学で、
政治経済を学び、
同共和主義国家を
亡命するその日まで、
彼がーーーーー
ーーーーその国の
要人であった事も。
ただの戦争屋に収まる器の
人間でなんて
有り得ないということを。