危険中毒

「『太陽』・・?」

思わず聞き返す。

「ああ。そうだ。
お嬢ちゃん、わかるんだな。
あっちの言葉も。」

彼は腕を緩め、
私に向き合った。

「手荒にして、スマンだな。

だが、ここは、想像以上に
ヤバイところだからな。

脱走なんて、
やめておくこった。」

・・・想像以上に、
ヤバイ・・・?


「そうだ、キズをみせろ。
俺が、ちゃんと手当してやる。
さっき程度で、
膿でもしたら大事だ。」

彼は、奥の部屋に連れていき、
私を椅子に座らせる。

「さっき・・・あなたが、
手当をしてくれたの?」

「ああ。
だが、生憎ここには、
まともな医療品なんてねえからよ。
腐らねえようにするくらいしか
対処の仕様がねえ。

すまねえな。」

「いえ・・・」

おもむろに首をふり、
気にしないでと、
意志表示する。


「何ゆってんだ!
おまえなら、まだ
嫁にだっていけるし」
「いいの!」

彼の言葉を止めた。


「私・・なんていうか・・
このくらいのキズは、
あってもいいっていうか・・・
不思議じゃないっていうか。

いつ、できても
おかしくないって、
思ってたから。」

ゾラは、驚愕といった
顔をした。

 

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