危険中毒
「とは・・・いってもな。
おまえのようなタイプは、
痛みには屈さない。」
顎には、
力が加わえられたままで、
頬のキズを、ガーゼの上から
指がなぞる。
「ひっっ!」
キズを通す痛みに、
体がびくびくと跳ねる。
「ゾクゾクするな。」
私の反応を見ていたムーンが、
クツクツと笑い声をたてた。
「なあ。リディア、
知ってるか?
調教ってな、
痛みを与えるやり方だけ
じゃない。
快楽を与えて、
作り替えるって方法もある。
おまえさあ、どっちがいい?」
アイツも、躾がいるって
言ってただろ?
首に指をすべらせ、
ムーンがいう。
「どっちも嫌。」
動きを拘束されたまま、
強気な言葉を吐くのは、
得策ではない。
できるだけ、落ちついて
答えた。
「残念だな。
おまえなら、後の方を
選んでくれると思ったのにな。」
ムーンは、楽しげに笑い、
言葉を続けた。
「おまえさ。俺の仕事、
手伝え。」
「は??・・・
人をサラッテこいって?」
突然の展開に、警戒する。
「まさか。ゲームだよ。
俺の司令を遂行すれば、
逃がしてやる。」