危険中毒
 

「ムーン・・。」


扉の向こうからの、
殺した声。

キム?

久々に寝てしまった。

時計を確認する。

明け方・・・だろう。

この地下空間じゃ、
時計だけが、
暦を知る頼りだ。

抱き枕・・と化してた
モニカを解放し、
銃を片手に扉へ近づく。

「ムーン。」

もう一度呼ぶ声がした。

「悪い、今開ける。」

気配と、監視モニターの数値を
確認して、扉をあけた。

「朝から、すまねえ。
一件仕事が入った。」

奴は言いながら、
部屋の様子を見渡す。
モニカを探しているんだろう。

「リディアか?
ならば、ベッドにいるよ。」

仕切のカーテンの奥から、
ガチャガチャ音が聞こえる。

手錠から抜けようと、
暴れているんだろう。

全く、恐ろしいほどの自我だ。

間違いなく、
本物のリディアには、
不可能な行動だっただろう。

「マックス。」

力無いキムの声が、
隣でした。

「あん?」

「お前なあ・・ちったあ、
普通にオンナ抱けねえのか?」

「バカ。やってねえよ。」

手錠を外す事に、
悪戦苦闘する彼女をみて、
キムは呆れていた。


 
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