危険中毒
「・・・ったく、
よく降るよな・・・。」
テントをたたきつける雨。
発水素材の生地が、
水をはじきつつも、
屋根部分が、水溜まりを作成し
形状がしなる。
水抜きのため、
背無しの円椅子を持ち上げ、
天部に押しあげる。
バサッ・・・
数度に分けて音が立つ。
溜まった雨が、
テントを波うちながら、
流れていった。
・・・?
誰かいる・・・?
腰の銃に手を伸ばし
動きを待つ。
扉が開き、五人の男が、
なだれ込んでくるのと、
俺が、扉にむけ、
銃を二丁構えたのと、
完全に同時だった。
雨が吹込み、
一瞬で
ズブ濡れになる。
「お前達、ここで何してる?!」
確認と言うよりは威嚇。
目の前の捕虜の男たちは
もちろん、自分の部下達ですら
俺の事をナメてかかってる事は
わかっていた。
当然、飲まれるつもりはない。
「おい!ついてこい。
お前を連れてこいと
いわれている!」
「何?どこへ?」
「俺達が、
拘束されているところだよ!」
・・・ったく。
どうやって、
抜けて来たんだ。